「いた…」
痛い…
チェギョンは軽い頭痛で目が覚めた。
喉が渇いている…
二日酔い?
そんなに飲んだかな
水…水……
えっと~
キョロキョロと、部屋を見回して
初めて異変に気づく。
えっと~~~
ここどこ!?
!!?
おおお!?
背中!?
しかも…男!?
おおおおおおお!?
もしかして…
イ先輩~~~!?
ぎゃーーーーー!
裸だ!
ってか、私もだ!
ど…ど…どうしよ!?
チェギョンは慌てて、下着を探した。
あ~ん!ブラ、どこ~!?
昨日のブラは何色だっけ!?
ああ、黒だ。
もしかしたら、イ先輩を襲えるかも…
じゃなくて~、イ先輩とホテルへ行っちゃうかもって…
一応、勝負下着をつけた…
あ~
成功したのね~~~
「んんん…」
シンが動いた。
起きちゃったら、どうなるの?
チェギョンは、慌てて身支度をしながらも、
シンを起こさないように、注意を払う。
おまえ?なんでいる?…って言われたら、
立ち直れるか!?自分!
頭の中でグルグル考える。
よし!
逃げよう!
呼吸を整えて、チェギョンはブラウスの裾を正した。
「ありがとうございました!」
小さく小さく呟いて、
バッグを抱えて頭を下げた。
ずっと…
ずっと、好きだった人。
よく覚えてないけど、昨日は二人でいたんだな~
テヘッ…//////
照れたように笑うと、
チェギョンは静かにドアの外に出た。
なんだか…
ちょっぴり幸せ…
片思いでもいいと思った。
どうせ片思いだし…
地下鉄の駅に向かう早朝の道で、チェギョンはニコッと笑った。
カチャ…
ドアの閉まる音?
「…ん?起きたのか…?」
まだよく目が覚めない…
横にいたはずの…
あれ?
いない…
まさか、帰ったのか?
何も言わずに?
なぜ?
寝ぼけた頭を降ってみる。
何考えてんだ…?あいつ…
「おはようくらい言えよ。」
空いた隣の空間に、僅かにチェギョンの香りがした。
◆◆◆
♪♪♪~~~
あ…ガンヒョン?
チェギョンの携帯電話が親友からの着信を告げる。
高校から大学と共に学び、今の会社に同期入社。
口が堅くて優しくて、なんでも相談できる友達だ。
昨日のことを心配してるに違いない。
「もしもし?」
「チェギョン?」
「おはよ。ガンヒョン。」
「も~!心配したわよ!昨日は酔って帰ったから!」
「う…うん。」
「イ先輩に送ってもらったの?今、家?」
「ううん…」
「え?」
「今は、地下鉄に乗るところ…」
「は?」
「えへへ…」
「えへへじゃないわよ!チェギョン!
あんた、まさか…」
「…うん。」
「まさか、計画通りに誘惑したの!?」
「誘惑ってわけじゃ…////」
「それで!?しちゃったの!?」
「やだ~!ガンヒョン!そんなストレートに~~////」
「チェギョン!あんたねーー!」
「わかってる!ガンヒョンの言いたいことはよく分かってるから!」
「まさか、イ先輩の気持ちも聞かないうちに、そんなこと!」
真面目なガンヒョンが心配してくれるのは、
よくわかるけど…
「だって、大好きなんだもん…」
「知ってるわよ!入社して、すぐ一目ぼれ!
チェギョンがどんなに、あのイ・シンを好きか、
私はよく分かっているけど。」
「だったら、何にも言わないで!
今、幸せなの!」
「付き合いたいとおもわないの?
軽い扱いでいいの?」
「重くはなりたくないの…」
「そりゃそうだろうけど…、好きなら一人占めしたいと思わないの!?」
「…思うけど、無理だから…」
「チェギョン!」
「だから、いいの!」
すごーくモテるイ先輩、30歳。
学術優秀、容姿端麗、性格…多少難あり…?
でも、優しい。
私は知ってるの。
先輩がすごーく優しいってこと。
現在、特定の彼女 無し。
過去の恋愛を今も引きずっていて、本気の恋愛はしない主義。
特に、社内恋愛は絶対しない。
一夜の相手であっても、社内からは調達しない。
ここは、噂だから本当のところはわからないけど、
会社に彼の女がいないことだけは確かみたい。
「チェギョンが承知でしたことだから、
私はこれからも応援するけどさ。」
「うん!ガンヒョン!ありがと!」
だって…
恋人になりたいなんていったら、きっと嫌われる。
シン・チェギョン、23歳。
割り切った大人の恋に憧れていた。