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my lovely cupid 9

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あんなにもウザかったギョンが、何も言ってこない。
そればかりか休み時間までも勉強している時がある・・
一体、何があったんだか…
休み時間、雑誌のページを捲るシンの手が止まる。
 
 
「はぁ―――、そんなにも水着なお姉ちゃんと戯れたいのか・・ギョンの奴。」
呆れたようにギョンの背中を見つめながらインが呟いた。
「どうせ振られるだけなのに…
 ひと夏のアバンチュールなんて、甘い夢を見てるんなら、無駄だぞ、ギョン。」
 
そんな冷やかしの声にも耳を傾けることなく、ギョンはペンを走らせる。
 
「あぁ――― マジでつまんねぇ・・」 インはふらりと席を立ち、教室を出ていく。
 
 
そんなインに構うことなく、ファンはいつも通り、シンにカメラを向け、まわしている。
そしてインが席を外したと同時に一人ごとを呟くかの如く話しだす。
「ギョンの奴さぁ、今度のテストで数学60点以上取ったら、告白するんだってさ…。」
 
 
「・・・・・・。」
なに・・?  思わず雑誌から視線を外し、ファンを凝視したシン。
 
 
「驚いた?」
「俺も驚いた。 60点なんて無理だろ~って」
赤点・追試・補習の常連のギョンだ
「だけどさ、それよりも何がギョンをあれほどにまで駆り立てるのかってね。」
「今までだったら、告白だなんて畏まらずに、速攻で、かる~く告って撃沈してたのにな。」
「それだけ、今回は本気ってことなのかな…。」
 
 
「・・・・・・。」
 
 
「あっ… 今の話、インには内緒ね。
 変に冷やかし半分で応援されたくないだろうし・・
 今回ばかりは、俺もギョンのこと、ちゃんと応援してやりたいから。」
「本当は俺にも言いたくなかったんだろうけど、藁にもすがる気持ちだったんだろうね。」
ファインダー越しにシンを見ながら、ファンは話を続ける。
「ところでさ、シンとチェギョンちゃんって、どういう関係?」
 
 
「ど・・どういう…関係って?」
唐突な質問に焦るシン。
 
 
「ん… だって、いつだったか、あの子ともめてたんだろ?」
「シンがあっちの校舎に行くなんて珍しいし… しかも女の子の肩を掴むなんてさ。
 普通じゃないだろう?」
ファインダーから眼を逸らすことなく、ファインダー越しにシンを見るファン。
「シンは有名人なんだから、ちょっとしたことでもすぐ噂になるんだよ。」
 
 
あぁ…そういうことか・・
「別になんでもない。」
ファインダーの向こう側、少しばかりあがるファンの口元が気になる。
 
 
「なんでもないか…。」
 
 
「あぁ…なんでもない。」
 
 
「じゃあ、俺の気のせいかな…
 この前、練習室のヒョリンじゃなくて、渡り廊下の方を見てた気がしたんだけど…。」
 
 
「 !? 」
「気のせいだろう…。」
 
 
「でもヒョリンがシンに気づいて、軽く手をあげてたのに、気づかなかったよね?」
 
 
「渡り廊下の方が騒がしかったから―――。」
 
 
「ふ~ん…
 今までのシンなら、そんな方は絶対、見ようとしなかったけどね。」
 
 
そうだ…
騒がしい輩など見ることはなかった。
僕を見てはしゃぐ女の子2人の奥にたまたまキャンバスに向かう彼女が目に入ったから…
「たまたまだ…。」
そう言ってシンはまた雑誌に視線を落とす。
 
 
「たまたまね…  じゃあ、これ・・巻き戻してみる?」
 
 
「 !! 」 
ファインダーから視線を外し、ジッとこちらを見るファン。
あぁ… こいつはある意味ギョンよりもウザい。
シンは小さく息をつく。
「なにが言いたいんだ?」
 
 
「協力して欲しいんだ、シンに―――。」
 
 
 
 
 
 
 
『全く…ファンの奴・・』
「チッ・・」と小さくシンが舌を鳴らす。
 
「げっ・・ 俺、また間違ってる?」 恐る恐る視線をあげ、シンを見るギョン。
 
「いや…。」
 
「はぁ――、良かった。」
「でもさぁ・・またシンが勉強会に顔を出してくれるとはな♪」
 
 
「ファンがどうしてもって・・。」
ファンが協力して欲しい…そう言ってきたのは勉強会の事だった。
意外な頼みで少しばかり気が抜けた
1人で2人を見るよりは2人で1人ずつを見る方が効率的だと。
しかも最初はシンが請け負った事なんだから、協力してくれるよね?と―――
 
 
「俺が頼んでも、全然、取り合ってくれなかったのにな…。」
 
 
「ウザい・・ 口を動かす暇があるなら、手を動かせよ。」
どんな風に顔をあわせていいかわからなかった。
それにギョン… おまえに利用されてるかと思うと癪に障る。
僕の事が好きな彼女を・・
 
 
「はぁ―――、やっぱシンは厳しいよなぁ…。
 いいよなぁ… チェギョンはファンで・・」
ギョンは恨めしそうに、対角線上の出入り口付近の席に眼を向ける。
 
 
「おまえはファンよりも僕の方が良かったんじゃないのか?
 確か・・最初にそう言ってただろう――。」
不機嫌そうにシンの眉がピクリとあがる。
 
 
「そうだった・・っけ?」
 
「あぁ・・厳しい方がいいってな。」
 
諦め半分で問題集に再び視線を落とすギョン。
そんな時、ファンとチェギョンの楽しそうな声が聞こえてくる。
 
 
「うわっ、惜しいな、ここ…  でも他はあってるよ。」
「ほんとに!?」
「あぁ。 はい、じゃあ、御褒美にこれ。」
「きゃあ~♥ このチョコレート、すっごく美味しいんだよね。
 この前、雑誌に取り上げられてたけど・・。」
 
 
「シン… 俺も褒めてもらった方が伸びるタイプだと思うんだが――。」
捨てられた子犬の様な眼差しをシンに向けてみる。
だが―――
 
「褒める部分がない。」 
 
一蹴されるギョン
 
 
 
 
一体、僕は何をしているんだ。
 
僕の事が好きらしい・・そんな彼女の事が気にかかる。
いや、そんな事を知る前から、
疑われながらもいい訳すらしなかった彼女が気になってはいた。
そして、キッと強い眼差しを向けたかと思えば、グッと涙を堪えてみたり・・
 
気になってはいたものの、接点はなくて
校舎も違えば、出会うことは皆無に近い…
だから、偶然見かけては、眼で追っていた。
渡り廊下で課題をする姿とか…
自転車に乗って帰る姿とか・・
 
チョコレートひとつで、あんなにもはしゃいで…
そんなにも美味いのか?
 
僕は無防備にも彼女を見てしまう。
教室の端と端・・
ファンと彼女が僕に背中を向けているのをいい事に… 
 
 

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