ひとつ前のお話はこちら
言わずと知れたふらちゃんちです(爆)
本日、そのふらちゃんことfluffさんが100万hitを迎えました。
いやぁ~、実にめでたい♪
しかも記念のお話でブラックユル君なる課題をコンプリート更新するらしい
彼女のユル君は基本ホワイトだったので、こちらも楽しみです♥
なので【奏】は暫くお休みをいただきますね
チェギョンに背中を押されるように、
ガンヒョンはギョンに連絡を入れてみようかと試みる。
確かに閉店時間は過ぎてはいるが、まだ片付け中だったりするかしら・・
ベッドの上の目覚まし時計に目をむける。
大丈夫かな・・
でも・・何を話したらいいのかしら?
改まって考えると、何も浮かんでこない―――
えぇいっ、女は度胸よ!
履歴からギョンの名前を拾い上げる。
発信ボタンを押す前に、ガンヒョンの携帯が震える
「ギョンさん?」
呼び出し音が鳴るか鳴らないか・・そんなタイミングで名前を呼ばれたギョン。
「うわっ、ガンヒョンっ・・ なんで・・・。」
「へ?」
なんで…って・・ 何を言ってるのだろう…
ギョンさんの方から連絡してきたくせに・・
「もしかして・・今、俺に連絡しようとしてたとか?」
「・・・・・・。」
確かにそうなんだけど…
【ガンヒョンは俺の事が好きだろう・・】 そういった―――
昨夜のギョンのしてやったりの表情がガンヒョンの頭に浮かぶ
また、そう思わせてしまうのが少しだけ悔しくて
「ちょうど今、チェギョンとの電話が終わったところよ。」
単なる偶然を装った。
「そっか―― 。」
少しばかり残念そうなギョンさんの声。
「で・・何か用なんですか?」
だけど、わざと気のない様な素振りをしてしまう。
「ん? 用がないと電話しちゃいけないの?」
「だって… もう日が変わろうとしてるんですよ…。」
「あ――、 ちょっと非常識だったか…。」
「・・・・・・。」
ちょっぴり反省してるような…
声色ひとつで、ギョンさんのそんな表情さえも浮かんでしまう。
「冗談です…。
ちょっと意地悪をしてみたかっただけ・・。」
「はぁ――、良かった。」
「あっ・・でもこれから逢おう・・なんて、いくらなんでも無理だよな。」
「へ・・。」
逢いたい・・ そう思ってくれてるんだ。
「えっと…。」
私も逢いたい… 素直にそう思う。
だけど・・
そんなことなら、最初から素直に話していたら良かったなぁ
あんな風につっけんどんな話し方じゃなくって…
言葉に出す事を躊躇ってしまうガンヒョン。
「本当は逢って話したかったんだけど…。」
ほんの少し間があいた。
「ガンヒョンはさ、俺との将来って考えられる?」
「・・・・・。」 俺との将来・・って・・
「俺はさ、ガンヒョン、君と生涯を共にできたら―― そう思ってる。」
「それって…。」 プロポーズ?
ガンヒョンの頭の中が真っ白になる。
「急に何、言ってるんだ・・そう思うのも仕方ないし…
そんな事、電話で言うもんじゃないって言うのもわかるっ!」
「ほんとよ…。」
あまりに急なことで、なんて言ったらいいのか…
「プロポーズはまた改めてちゃんとするつもりだ。
だけど――。」
「だけど?」
「明日、実家に帰って、両親と話して来ようと思う。
もう見合い話は無用だって・・。
俺には心に決めた人がいるからって。」
「ギョンさん・・。」
結婚をする・・確かにそれだけ覚悟のいる話なのだが…
それ以上に、ギョンから緊張感を感じるのは――
きっと、その事を両親と話すということが彼にとっては大変なことなのだろう。
「きっと母たちは相手はどんな人なのか、聞いてくるだろうし
そうなればガンヒョン・・君にも迷惑がかかるかもしれないし…」
「・・・・・・。」
お金持ちとの結婚…
相手について聞きたい事って・・ 家柄とか家族構成とか?
うちは完全な庶民よ
そんな私が―――
「正直さ・・俺んちの母さん、強烈なんだよ。」
「へ・・?」
「俺んちの父さんなんて完全に尻に敷かれてるし…。」
「見合いなんか何度、断っても、めげずに何度でもセッティングしてくるしさ・・
結婚したい人がいる・・
そう話しても、すんなりと引き下がってくれるかも怪しいと思ってる。」
そうなんだ
ギョンさんから伝わる緊張感の理由がわかった。
「無理よ・・ 私なんかじゃ…。」
認めてもらえる訳なんてないわ。
「なにが・・無理なんだ?」
「何もない一般庶民な私なんて、
ギョンさんのお母様が認めてくれるわけがないわ!」
「それって…
ガンヒョン自身は、俺と結婚してもいいって思ってるってことだよね?」
「へ・・。」
「気持ちは俺にあるって思ってもいいんだよな?」
「それは―――。」
「俺・・それだけで充分だから。」
「それだけで、充分に母さん達とやりあえる気がするよ。」
「ギョンさん・・。」
ほんの少しばかりホッとしたような…
それでいて決意を感じるようなそんなギョンの声に
『信じてみようよ…』 チェギョンの言葉がふいにガンヒョンの脳裏をかすめた。
♢♢♢♢♢
翌朝早くに、ギョンは実家を訪れた。
「あら・・ギョン… 呼んでもいないのに、貴方の方から此処に来るなんて、
どういう風の吹き回しかしら?」
優雅に紅茶を飲む母から、さっそくの先制パンチを受ける形となったギョン。
そんな母の横で、そそくさとテーブルにおいていた新聞を手にとり
慌てて顔を隠す様に紙面を広げた父
相変わらずだな…此処は・・
ギョンはふぅ~っと小さく息をついた。
「僕にも、紅茶を1杯、いただけますか?」
母の傍で給仕するメイドにひと声かけ、席に着く。
そのメイドは俺の指示だけでは動かない
母の方に伺いを立てるように視線を向けた。
運ばれてきた紅茶を口に含み、ひと息ついたギョンは口を開く。
「そろそろ僕も身を固めようかと思いまして…。」
「あら… この間のお見合いのお相手が気にいったの?」
にっこりとほほ笑んだ母。
母の上機嫌な様子に、父が紙面を少しばかり下げ、俺たちを見た。
「いいえ… この前のお話はお断りしてください。」
母の右眉がヒクりとあがり… 父の紙面もまた上がった。
「何処が気にいらなかったのかしら?
ゆくゆくは大統領にでもなるんじゃないかってお噂も高いパク議員のお嬢様なのに…。
お嬢様自身、名門大学を卒業され、某企業の秘書をしてらっしゃる才媛だし・・」
「それは、うちが資金面でバックアップしたら…って話でしょ?
それに・・才媛って割には、彼女は話していて退屈でしたが…」
コネと金で手に入れた経歴…
まぁ、この世界では普通なのだが・・
「ギョン・・ あなたねぇ…。」
「あなたなんて大学は中退のまま、仕事はイタリアンレストランのオーナーで、
うちの仕事にも関わってもいないのに―――。」
呆れた風にカップを置くと、ギョンの母は口元をナプキンで拭った。
「関わりたくないんですよ。」
「なにを言ってるの、ギョン?」
「貴方はここの跡取りなのよっ!」
「僕じゃなくってもいいでしょ… 姉さんでも、妹でも・・。」
あぁ、今日はもう少し穏やかに話をしよう・・そう思ってきたのに…
「ユリはもうとっくに嫁いでるでしょ!
それにユナだって、いいお話があがってるのよ。」
「そうでしたね。」
すべて政略結婚というか…
うちの会社に有益なところばかり。
「で・・貴方が身を固めたい… そう思うのは何処のお嬢さんなの?」
話にもならない
そう思ったのか母は深い溜息と共に元の話題へと戻してきた。
「ごく普通の一般家庭のお嬢さんですよ。
付き合い始めて…2か月になるかな・・。」
母の顔がますます怪訝そうに歪んでいくのを、
ギョンは紅茶をひと口、口に含み眺めていた。